たった1回で世界を変えた広告(2)

たった1回で歴史を変えてしまった広告として、
今日は1964年に放送された
民主党のCMをご紹介します。

この年は大統領選挙の年でした。
選挙は共和党のゴールドウォーターと
民主党のジョンソンの争いとなっていました。

共和党はコミュニケーション戦略にあたり、
当時世界最大の広告代理店グループであった
インターパブリックグループをパートナーに据え、
17億もの情報もとにコンピューターにより
はじき出された科学的な媒体計画により
広告を展開していました。

対する民主党がパートナーに選んだのは、
「広告は科学ではなく、アートだ」と
宣言していた気鋭の広告代理店DDB。

DDBが制作したコマーシャル
「Daisy」は以下のような内容です。

20080316-01.jpg


●動画はこちら
http://www.youtube.com/watch?v=EG2G1wdwP48

女の子がひなぎくの花びらを
一枚一枚めくっていきます
「いつつ、むっつ、ななつ…」そして
10を数えるタイミングで「10、9、8」
という秒読みが始まり、ゼロ、
というところで画面いっぱいに
キノコ雲が広がります。

そして最後のナレーションが強烈です。

ジョンソン大統領:
「原爆の世にあっては、お互いに愛しあうか、
 死ぬかの方法しかありません。」
ナレーター:
「11月3目にはジョンソン大紋舘に投票しましょう。
 家にいるなんて、とんでもない危険を冒さないでください。」

広告ではひとことも
ゴールドウォーター陣営のことは
述べていないのですが、
見る人には当時水爆実験を行ない、
「ベトナムの密林を焼き払うためには、
 核兵器の使用もためらってはならない」
とまで発言したことがあった
ゴールドウォーターが大統領になる恐怖を
想像させるに十分な内容でした。

これを見てゴールドウォーター陣営は
記者会見で抗議し、民主党はこのCMを
1回の放送のみで打ち切ることにしました。

ところが強烈なCMが放送中止に
なったことがニュースなどで大きく報道され、
結果的に広告のメッセージが多くの人に伝わり、
全米で大反響となりました。

選挙の結果は、
ジョンソンの獲得票は61.1%、
ゴールドウォーターは38.5%と、
史上最大の差で民主党が勝利を収めたのです。

どうでもいい内容のCMを100回打つよりも、
クリエイティビティの高い広告を1回打つほうが
はるかに効果は高くなるということを
この事例は示しています。

優れた表現は、
広告費の削減にもつながるんですね。

広告予算の少ない環境NPOなどは、
限りある機会を最大限に活かせるよう、
クリエイティビティには留意する
必要があるのではないでしょうか。

●参考:西尾忠久さんのブログ「想像と環境」より
http://d.hatena.ne.jp/chuukyuu/20080226


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