【カンヌ広告祭2008(6)】世界を見る目が変わる映像の力

カンヌ特集、
最後は映像についてのフィルムライオンです。
昨年まではCMについての部門でしたが、
今年からはネットなどで配信される映像も
対象になっています。

まずはゴールドとブロンズを受賞した、
マレーシアの人種差別問題について
考えさせるコマーシャル。

ゴールドをとったのは、
「TAN HONG MING」というタイトルのもの。
●youtube動画はこちら
http://jp.youtube.com/watch?v=vn0e4s2uBjs

黄色人種の男の子へのインタビュー。
好きな女の子がいるんだけど、
ないしょにしてるんだ。
彼女がどう思ってるか分からないからね。
と、男の子は恥ずかしそうに言います。

そのあと、黒人の女の子がやってきて、
ボーイフレンドがいる、その子は
隣にいる男の子、と突然の告白。
うれしさをこらえきれない男の子は、
そのまま女の子の手をとって
カメラから離れて行きます。

そして最後にこんなコピーが入ります。

“Our children are colour blind.
  Shouldn't we keep them that way?"

「子どもたちにとって、肌の色は関係ありません。
 子どもたちに、そのままでいて欲しいと思いませんか。」
みたいな感じでしょうか。

ブロンズを受賞した「Race」もかわいいです。
●youtube動画はこちら
http://jp.youtube.com/watch?v=6o1CzrmQP8U

人種の違う男の子ふたりを前に、
「dinosaurってどういうつづり?」と聞きます。
ふたりは元気よく(間違いながら)答えます。
続いて、二人は親友だよね、と確認したうえで、
「彼のrace(人種)知ってる?」と聞きます。
ところが男の子たちはピンときていない様子。
「Raceって何だろう?車のレースかなあ?」てな具合。

締めのコピーは「TAN HONG MING」と同じく、
“Our children are colour blind.
  Shouldn't we keep them that way?"

人種は、その人を判断する材料ではない。
当たり前のことなんだけど、見ていて
涙が出そうになるのは、このことが
ともすると忘れがちな、大切なことだからなのでしょう。

シルバーを受賞した「KILL THE GUN」は、
映像ならではの静かな説得力があります。
●youtube動画はこちら
http://jp.youtube.com/watch?v=oGp-LxLYvRc

様々な物が弾丸によって砕けていく映像が続き、
最後に少年の頭が出てきます。
思わず目を覆ってしまう最後に、
弾丸が次のコピーに変わります。

「Stop the bullets.Kill the gun.」
(弾丸を止めて、銃を殺そう。)

たった1分の映像ですが、
一生忘れられないインパクトがありますね。
銃はオモチャであっても目にしたくなくなります。

同じくシルバーを獲った「Test」。
●youtube動画はこちら
http://jp.youtube.com/watch?v=1PvIc31-cdM

画面が二分割されていて、
同じ男の子をホームレスの格好をさせた状態と、
こぎれいな格好をさせた状態で比較しています。
左右の画面を見ていると、ホームレスのほうは
ほとんど無視、見て見ぬふりをされるんですね。

で、最後のコピーは
「Why are some children our problem 
  and some aren't.」
(なぜ私たちが問題だと思う子どもと、
 そう思われない子どもがいるのでしょう?)

こういう実験形式の広告はこれまでも
ありましたが、この対比は露骨ですね。
自分たちが直視したくない現実を
見せられているようで、胸が痛みます。

最後はブロンズの「EXECUTION」。

●動画はこちらのページの右下の画像を
 クリックするとストリーミング再生されます。
http://www.sostav.ru/columns/goldendrum/2007/silverVideo/

軍隊が敵国の人間を捕え、
処刑しようとしたその瞬間、
上官から「待て」の声。
指差す方向を見ると、
スナックをほおばりながら、
処刑の瞬間をながめている少年が。
兵隊が「君は何してるんだ?」と聞くと、
少年は涼しい顔して「ネットサーフィン」と答えます。
コワいですね~。

いまやネットを勉強に使う子どもも
少なからずいるようですから、
この表現も大げさなものだとは言えません。

というわけで、
ざっと今年のカンヌのソーシャル広告を
振り返ってみたわけですが、いかがでしたか。

タレントが出てきて、当たり前のことを
大きな声で言って逃げるような(たった15秒で)
日本の広告とは考え方が全然違いますよね。

昨年と違いズバリ「環境」というものは
少なかったですが、よりテーマが細かくなって、
深いところに踏み込む広告が増えた印象があります。

世界的に見ればもはや環境のことを考えるのは
当たり前のことで、どう解決していくのか、
そういう段階に入っているのかも知れませんね。

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