GEINセミナー「水素エネルギーが未来をつくる」(1)

先日あったGEIN主催のセミナー
「水素エネルギーが未来をつくる」の
講義メモをまとめました。
長いので、二日にわたってお届けします。

エネルギーというととかく暗い話になりがちですが、
とても力強くポジティブな話が聞けましたのでシェアします。

篠原道雄さん(Honda環境安全企画室長)

70年代からエンジン開発。
当時は排ガスが問題だった。
またオイルショックもあり、
燃費のいいエンジンが求められていた。
当時からエンジン開発には環境の話がつきものだった。

いまの課題は、いかにCO2を削減するか。
ホンダはモビリティの会社。
全世界で2370万台の車をつくっていて、
そのすべてが化石燃料をつかっている。
大きな環境負荷をかけているが、
多くの人にモビリティを提供することが使命。
モビリティの自由と環境負荷の低減を
両立させていくことが課題になっている。

人間は豊かになると、
長い距離を移動するようになる。
移動距離はGDPと比例して長くなる。
これからアジアやアフリカなどが経済発展していくと、
ますます自動車が増え続ける。
現在約8億台、2030年までには13億台、
2050年までには30億台。
予測では今の3倍以上の台数になる。

IPCCは気温上昇を2度以内に
とどめるためには2050年までに
現状より50%減らさないとだめだと言っている。
3倍車が増えるとして、
50%CO2を削減しないといけないとなると、
1台の車から出るCO2の量を1/6にしないといけない。
ガソリンなんか燃やしている場合じゃない。

燃料電池車の効率は、
どうやって水素をつくるかにかかっている。
電気自動車もどうやってつくるかにかかっている。
電気自動車はエネルギーの充填に時間がかかる。
8時間充電して160キロしか走れない。
燃料電池車はいまベラボーに高い。
消費者の理解も足りていない。

燃料電池というのは、
空気中の酸素と注入する水素を結合させて、
電気と水をつくる。
燃料電池車は究極の電気自動車。
デカいバッテリーを積む必要がない。
CO2も有害物質も出ない。
室内で走らせても問題がない。
ニッケルやリチウムイオンよりも、
エネルギー密度を上げることができる。

FCXクラリティは、
タイヤとタイヤの間に水素タンク、
運転席と助手席の間に燃料電池を置いているので、
広々した車内のセダンタイプの車にすることができた。
燃料電池の重量は100キロワットで67キロ。
空気と水素の流し込みかたも工夫して、小さくできた。
しかも、走りをガマンしなくていい。
3リッターの高級セダンと同じくらいの加速性能。
エネルギー効率はハイブリッドの2倍。
一回水素を充填すると620キロ走ることができる。
充電時間は水素ステーションがあれば3~4分。
アメリカではすでに個人に販売している。
セルフの水素ステーションがすでにある。
技術的には2015年には一般ユーザーへの普及を
目指してすすめている。

本田はカリフォルニアでソーラーをつかった
水素ステーションをつくっている。
ソーラーパネルでつくった電気で
水を電気分解して水素を発生させている。

日本の郊外にある家の一軒分のソーラーパネルで、
1年間で2万キロ走るくらいの水素をつくることができる。

本田はホンダソルテック| http://www.honda.co.jp/soltec/という会社で
ソーラーパネルをつくっている。
家庭で水素をつくれるようになると、
ガマンをしなくてもよくなる。

1台あたりのCO2排出量を1/6にするためには、
半分の車のCO2排出量がゼロに、
半分がエネルギー効率2倍の車になる必要がある。

【水素のコストを下げるために地域や家庭ではなく、
 大きな工場で大量につくったほうがいいのでは、
 という質問を受けて】

水素は元素として異常に軽い。
運搬するためにはうんと圧力をかける必要がある。
だから大きな工場で大量につくって運ぶよりも、
地域や家庭でつくるほうがいい。

水素に対する教育が足りないからこういう誤解が生まれる。
水素ステーションの水素はどこかから運んでくるのではなく、
その場でつくったほうが効率がいい。

でも、日本では水素をつくって
ためておくことが法律的にできない。

【法律で認められていないのは、
 水素が危ないからなんですね、という質問を受けて】

それは危険だからではない。
水素はすぐに爆発するといわれるが、
すごくいい状態でためないと爆発しない。
水素はあまりにも軽いので、もれたら一気に飛んでいく。
空気の22分の1の重さなので、
きっちり貯めないと爆発させることができない。

クラリティは衝突試験を一般道で行っている。
衝突して危ないのは圧倒的にガソリンタンク。
ガソリンがもれたらそこに留まるので大爆発を起こす。

【燃料電池自動車よりも電気自動車のほうが
 現実的なんじゃないか、という質問を受けて】

電気自動車は、バラ色のいばらの道。
電池ごと交換すれば充電に時間が
いらないなどといわれているが、
あのやり方はまったく成立しない。

電気自動車の電池を入れ替えるのには技術が必要。
そこにもコストがかかる。
バッテリーは充電した状態で保管できない。
ひとつひとつの電池を別々に冷蔵庫に
保管しないといけないくらい保管も大変。
交換用のバッテリーを100個も置いておける場所が
そんなにつくることができるのか分からない。

電気自動車は実証実験も行っていないし、
個人ユーザーに販売もしていない。
燃料電池車は実際にユーザーに販売もしている。
いまの電気自動車のバッテリーは短距離移動しかできないが、
都市のなかだけで走るぶんにはいいということで、
普及する可能性はある。

でも、電気をつくるためには
大量の化石燃料をつかっている。
車そのものからはCO2は出ないが、
発電所から大量にCO2が出る。
それで本当にエコと言えるのか、という疑問が残る。

<明日はR水素ネットワーク兼松さんの話です…>

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