2008年06月26日
第4回 森林の役割2
なもないミニコミ誌2007年7月号の記事です。 8月になりました。もうすっかり暑くなりましたね。今年はどうやらヒグマが多いようです。熊石の林道を通ると、一つの林道で10ヶ所くらいクマの糞を見つけます。かなりふもとから近いところでも見られるので、山から降りてきているのではと感じます。山に入るときには一人では入らず、熊鈴を身につけるなど十分に安全対策をして事故防止に努めましょう。
今こちらでは地林況調査を行っています。何十年か前に植えた木の成長状況を調べているのです。ちゃんと育っているのか、枯れたり倒れたりしているものはないか、太さや高さ、本数などを調べ、報告するのです。全ての箇所を調べて把握することで、後の森林官にも伝えられ、全体としての状況が分かります。これを元に、後の計画を立てたりするのです。調べていくと、ちゃんと育っている箇所もありますが、中には、年取っているとは思えないくらい細かったり、低かったりするところもあります。また、広葉樹林になっていたりします。結局こういうところは人工林に適した場所ではなかったということです。また、あまりに広面積に植えたので、手入れが行き届かなかったとかです。せっかく植えたのだからちゃんと育ってほしいものです。 林業では「適地適木」という言葉があります。適した土地に適当な木を植える。こうすることで無駄が省け、しっかりとした木が育ち、良い材を取ることができます。森林には木材を生産するという重要な役割もあります。家や家具、紙などを生産するには木は不可欠です。前回紹介したような森林の様々な機能を発揮するためには、天然林の方がより良いのですが、人間が豊かな生活をする上で木材を生産することも森林の大切な役割だと言えます。 さて、前回の続きということで森林の役割というテーマに入りました。森林には様々な生き物の住み処になっています。冒頭にあったヒグマや、マムシなどの怖い生き物もいますが、エゾシカやキツネ、タヌキ、綺麗な花々やじめじめしたキノコ、土の中の目に見えないほどの小さな生き物まで実に多くの種類の生き物が住んでいます。これらが複雑に絡み合い、食う食われるの関係や、養分を作ったり、分解したりして、全てが互いに依存したり、対立したりしながら生きています。これらは長い年月をかけてできた微妙なバランスの上で成り立っているので、壊れやすく、一度壊れるとなかなか元には戻りません。人間の側から見れば役に立たない生き物も、必ず他の生物に影響を及ぼし、そして回り回って人にも影響してきます。ヒトも含め、生物の種は一つだけでは生きられず、必ず他の多くの種と関係を持っています。種が多ければ多いほど安定した生態系を保つことができるのです。 「森は海の恋人」と言われるように、豊かな森林のあるところには豊かな海があると言われます。森林が豊かな養分を、川を通して海へ送るためです。そして海からあがってきたサケなどの魚がまた養分となって森林へと還ります。川を通して森林と海が繋がっているのです。また、川を通さずに直接海と繋がっている森林もあります。熱帯地方にはマングローブという種類の木があり、これは海水に浸かっても耐えられます。このマングローブは海岸に森を作っています。地上部から海中にたくさんの根を降ろしているので、海中では根が複雑に絡み合い、それを隠れ家とする小魚を集め、とても良い漁場となり、生態系を形成しています。 他にも森林には、人々の心身に安らぎを与えたり、レクリエーションや教育の場としても利用されたり、風害や潮害を防いだりと様々な機能が備えられ、知らぬ間に私たちの生活に役立っているのです。森林がどれだけ大切か伝わったでしょうか?文面だけで伝えるのはとても大変です。実際に森林に足を運んで、体で感じ取っていかなくてはわからないかもしれませんが、そのきっかけになってもらえれば嬉しいです。
- posted by forester-news |
- 21:59 |
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