第五回 日本の森林・林業

なもないミニコミ誌2007年8月号に掲載した記事です。

 9月になりました。今年は台風が来るでしょうか?台風が来ると強風や大雨で木が倒れたり、林道や山の斜面が崩れたり、川が濁ったりして大変です。
 さて、今回は日本の森林についてお話しします。日本は南北に細長く、四季が明確に分かれていることが知られています。そのため、北は北海道から南は沖縄までその気候や土地に合わせたいろいろな植物が生息しています。北海道は亜寒帯針葉樹林でエゾマツやトドマツなどが主ですが、道南から関東にかけては冷温帯落葉広葉樹林でブナやミズナラ、カシワなどです。人工林にはスギがよく使われます。関東から紀伊半島あたりまでは暖温帯落葉樹林でコナラやクリといった木が生えています。人工林にはスギや北海道にはないヒノキが用いられます。そして近畿から九州までは暖温帯常緑樹林でシイやカシ、クスノキなど、冬でも葉をつけたままの常緑樹が多く見られます。そして沖縄では亜熱帯林で前回お話ししたマングローブ林やヤシ、ガジュマルなど熱帯に近い木が多く見られます。この辺りになると北海道とは同じ日本だとは思えないくらい全く森林の様子が変わってしまいます。ちなみにスギやヒノキ、それにヒバは日本特産種で外国にはありません。ご存じでしたか?

 日本の森林、特に天然林は戦後の復興のため、木材や燃料として大量に伐採されてしまいました。そのため、木が不足がちになり、昭和30年代に拡大造林としてスギやヒノキなどを植えるように奨励され、その補助金目当てもあってか、いろいろなところで植林が行われました。その後に外国の木材が大量に輸入されるようになりました。最初は主にフィリピンやマレーシアなどの東南アジアからです。フィリピンには今原生林が全くありません。全部伐採して日本に輸出したからです。また安い外材が輸入されるとみるみるうちに国産材の価格が下がり、売れなくなり、林業の経営として成り立つことが難しくなってきました。
戦後の拡大造林から約50年経った人工林は今、間伐が必要な時期になっています。間伐を行わないと、細長いもやしのような木ばかりになり、倒れやすくなってしまいます。以前そのような人工林を見たときは、林内が真っ暗で、土壌がほとんど流れ出て、木の根が露出して今にも枯れそうなひどい状態でした。これでは前回お話しした森林の機能がほとんど発揮されなくなってしまいます。間伐をすると林内が明るくなり、草や低木が生えてきて土を固定してくれます。そして木も太くなり、二酸化炭素を固定するようになります。
今全国の人工林1000万haのうち30万haで間伐することが急務とされています。しかし、間伐は手間がかかり、売っても大した額にはならない上、山村の高齢化や労働力不足のため、作業がますます難しくなってきています。このままでは、日本の森林はますます荒れてしまうことでしょう。林野庁では間伐推進対策を打ち出し、森林所有者や消費者、学校などいろいろなところに働きかけています。今では工事に利用したり、「カートカン」という間伐材から作られた紙の缶ジュースを作ったり、最近注目の木質ペレットとして燃料に利用したり、様々なところで使われるようになっています。このように間伐材の利用価値を高めることが必ず間伐の推進に結びついていくはずです。
森林を守るためには伐採しないで保全するだけではなく、上手く利用しながら付き合っていくことが必要だと思います。間伐材を利用しているのを見つけたら応援してあげてください。
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