第二回 八雲・道南の森林

なもないミニコミ誌2007年5月号に掲載した記事です。

第二回 八雲・道南の森林

 陽気な春を終え、季節は初夏に向かおうとしています。5月はサクラが咲き乱れ、ウドやタラの芽、ミツバ、タケノコなどの山菜の美味しい季節です。春の味覚を存分に味わい、花見を楽しんだ人もいるのではと思います。

 さて、前回は私のことを知ってもらうために、森林官の仕事について書きました。皆さん理解していただけたでしょうか?今回は私たちの住んでいる八雲町およびこの道南の森林についてお話します。

 八雲町には約8万haの森林があり、これは八雲町全体の約84%が森林ということになります。日本全体の森林の割合は67%なので、八雲町の森林の多さが分かると思います。八雲町は酪農と漁業が盛んな町ですが、この豊かな森林があり、そこから豊かな川が流れ、この一次産業が保たれているのです。遊楽部川と見市川の源流となっている標高1277mの遊楽部岳または見市岳があり、なだらかで雄大な眺めが見られます。そして、切り立って雄々しい景観が特徴的な標高999mの雄鉾岳がそびえています。どちらも八雲を代表する山なので、一度登ってみてはいかがでしょうか。ちなみに私はまだ登ったことがありません。一度行ってみたいものです。

道南の森林の前に少し北海道の森林についてお話します。本州の森林と北海道の森林を比べると、そこに生息している樹種ががらりと変わっていることが分かります。北海道には北の針葉樹の代表格トドマツやエゾマツが人工でも天然でもあちこちに見られます。そして本州では標高の高いところでしか見られないダケカンバやシラカバが普通に見られます。また、本州では普通に植えられているヒノキや、シイ、カシなどの常緑広葉樹が北海道にはありません。そして北海道の森林には針広混交林があります。これは天然林で針葉樹と広葉樹が交じり合って生息しているというところです。このようなところは世界的にもあまりなく、北海道の森林の大きな特徴となっています。

さて、そのような北海道の中でもこの道南は特に特徴的で珍しいところなのです。何が珍しいかというと、道南は北海道と本州の森林の境目にあたるので、様々な樹種の北限と南限が存在しているというところです。つまり、北の限界地と南の限界地があるので、温帯の木から亜寒帯の木まで特にたくさんの樹種が生息しているということです。八雲町にもあります。それはヒバの北限地です。雲石峠の熊石側にヒバの天然林があり、そこがヒバの北限だといわれています。ここより北には天然のヒバ林はないということです。他にも知内町にはトドマツの南限があり、厚沢部町にはキタゴヨウマツの北限があり、黒松内町にはブナの北限があり、その隣の島牧村には北限のブナ林が広大な面積で広がっています。また、本来北海道には生息していなかったスギが人の手によって持ち込まれ、道南でのみ植えられています。このような北限・南限地はその樹種の限界地としての特徴があるので、学術的にも貴重なので、保護の対象とされています。

今回の話はいかがだったでしょうか?少々難しかったかもしれません。普段見慣れている木や森林が実は貴重であったり、他では見られないものだったりすることもあります。少し目を向けるといろいろなものが見えてくるかもしれませんね。

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