『ホタルの子守唄』

クメジマボタルの産卵は、
月の明かりも届かない遥か太古の昔から
しらじらと明けてくる太陽の光を感じる夜明けに始まります。

いじめられない子に育てなさい、強い子に育てなさいと、
今の時代の子育ては、
穏やかとはとてもいえない胸騒ぎの中、
ひたすら他人の評価を気にして、追い立てられるようで、切ないばかりです。

本当のうちなー(沖縄)の子育ては、古謝美佐子の唄う「童神・わらびがみ」のように
「天からの恵みを受けて授かりしわが子を、
暑さの夏は風を送り、北の風には懐で抱き
ただひたすらに、愛を込め健やかに」と祈り育てます。

そこには、比べることなどできない
たった一つのかけがえのない命を慈しむ心があるだけです。

まだ暗い闇の中で、一匹のホタルが苔むした岩の上に卵を産み付けるときの
きれいな光を眺めていると、
なぜだか、その唄の愛しい命を見ているような、
溢れるような暖かさが胸の奥に広がっていきます。

私達人間から比べると、ホタルの成虫の期間は、ほんのわずか一週間ほどです。

その一生のほとんどを、幼虫と呼ばれる時期で過ごすのです。

私達は、20歳になれば成人と判断されますが、
今の自分を重ねてみても、これでOK,立派な成人ですよとは、言いがたい
未熟な部分を日々、うちあたい(決まりの悪い確信)をしながら生きています。

子育ては、若いから未熟だとか、
年を重ねているから問題ないということでは図れません。

年齢に関係なく、命のひとつ、ひとつを、かけがえのない大切さで育てること、
たとえ、子供を授かることがなかったとしても、
人を愛しむ生き方をした人は、
闇を照らすホタルの灯りのように、人の心に灯りをともすことができます。

戦争の激しい時代を生き抜き、穏やかな笑顔のお年寄りから受け継いだ
その生きる力の逞しさや、やさしさを「命どぅ宝」という想いと共に
経験の浅い、精神の幼い、癒しを必要としている 
全ての人へ
自然のゆりかごの中で、光るほたるのもたらす穏やかな時間と、
人と人でしか感じあうことのできない、暖かな手のぬくもりを
親から子へ、愛しい人へのやさしい子守唄として受け継いでゆきたいものです。


「ホタルの国から」本文はホタルの子守唄 

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