お願いマナスルの神様

ナマステ。

これほど美しい天の川を見たことがあっただろうか。昨晩の夜は雲一つなく、標高5000m近くで見る天の川は、本当に美しかった。しかも、天の川が1本から2本に別れているのを肉眼で見られるのは、きっとこのヒマラヤだけだろう。寒さも忘れ、1時間も外で星を眺めていた。
 
朝になると、次は快晴無風のマナスルがいた。このベースキャンプに着いて一番いい天気だ。これは絶好の登山日和。食事をすませ、早速準備を開始するが、他の隊が動こうとしない。なぜだろうか。ベースキャンプマネージャーのチェトさんが、早速情報収集してきた。
 
話を聞くと、どうやら今日も動けなさそうだ。標高5700mのキャンプ1から標6400mのキャンプ2の間に積雪が1m近くもあり、キャンプ1からキャンプ2にかけては雪崩の巣で、大規模な雪崩が起こる可能性が高いそうだ。
 
悪天候の次は雪崩か。さすが精霊の住む山と言われる山だ。簡単に人間を寄せ付けない。
 
風のないヒマラヤは、太陽の陽が雪を反射して猛烈な暑さだ。べースキャンプの右にあるナイケ峰の谷からは、待ってましたかのように雪崩が起きた。雪崩は15分おきに起きる。手軽に雪崩のショーを見たい方は、このベースキャンプをお勧めします。


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隣のナイケ峰の雪崩。これが15分おきに起きます


たまに、これはヤバイのじゃないか!と思うほどの大きなものが崩れてくることもあるが、このテント場までは来ないようになっている。しかし、昔の冬にフランス隊がこれよりも大きな雪崩に遭い、テント場ごと飲み込まれたことがあるそうだ。
 
お腹が空いたのでキッチンテントに向かうと、シェルパのカミさんがまたあのおっ ぱい雪像に楽しそうに手を加えていた。雪にナイフで手を加えている指を見ると、凍傷で指が短くなっている。カミさんはエベレストを無酸素で登っている強者だ。カミさんは笑顔で言った。

「これがあったから晴れた。これはマナスルの神様だ」


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これがマナスルの神様

 
それを聞いて爆笑してしまうが、だれもこの雪像に文句も言わず、壊そうともしない。

僕も、もしかしたらこれは本当にマナスルの神様かもしれないとい思い、「お願いマナスルの神様、雪崩だけは許して」とその冷たい胸に手を軽く添えてみた。

明日は、キャンプ1で雪崩の可能性が低ければキャンプ2に向かい、キャンプ1に泊まります。

ナマステ。


20080929-07.JPG
このセラックの上が標高6400mのキャンプ2です。この中央で雪崩が多く発生します。明日からここに向かいます


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