光を持ち続けて

なぜあの過酷な山頂を目指さなければいけないのか。

骨を裂くような風。肺を凍らせ、思考を奪っていく冷たい空気。もうここは人間が呼吸をして生きていられる世界ではない。

薄暗く、冷たい世界にヘッドランプ一つで暗闇の中に光を見つけなけなければ生きていくことはできない。

でも僕はその世界が好きだ。光に光があるだけではない、暗闇にも光あり、それは自分自身の光でもある。

寒ければ寒いほど暖かく、闇であれば闇であるほど光輝く。生きても、死んでもマナスルは僕がどれだけ光輝けるのかを試そうとしている。

なにも怖がることはない。ただ山に抱かれ、生きていること生かされていることに感謝し、光を見失わければいいのだ。

今、僕は光を灯し、生きている。

明日、午前11時にマナスル山頂に向けて出発します。

ナマステ

PS そうです。私はいっちゃいました。

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 第2日本テレビ

山頂に

これは嵐の前の静けさだろうか。普段であれば、午後にはマナスルに雲がかかるが、今日は一日中ご機嫌な顔見せている。僕は、パイプイスに座り、マナスルを眺めながら暖かいミルクティーを飲み、「登りに来なかったら素敵な眺めなのに」とつい呟いてしまう。
 
この好天気は、木曜日から嵐に変わるそうだ。ジェットストリームという極寒強風が、このマナスルに舞い降りてくる。
 
すでに他の隊も同じ天気情報を得ている。他隊の情報は的確で、ほぼ100%に近いぐらい当たっている。なぜなら、他の隊はNASAや国家機関から日々天気情報を得ているからだ。

では、僕はどのように情報を得ているかというと、栗城隊のネパール人通訳チェトさんが、他の隊に行き盗み聞きしてくるだけだ。チェトさんは、笑顔で腰を低くしながら他の隊に近づき、絶対に聞くことのできない情報を得てくる優秀なスパイだ。

その情報によると、今週の木曜日にジェットストリーム来て、その後に好天になるというものだ。

ジェットストリームとは一体何者なのだろう。アイスクリームの機械に口を近づけて豪快に食べる。新型の入浴バス。そんなイメージだ。

経験者に聞くと、成層圏に近い気流が降りてきて、とても人間の生存できる風ではないらしいが、知らぬが仏である。おっと、仏になるのはまだ早い。

しかし、ジェットストリームは決して悪いものではない。ジェットストリームの後に快晴無風がくるからだ。今回はそこを登頂日として狙っていくわけだ。計算すると10月12日である。名付けて「地球鼻息の日」。その日僕は、地球の息吹を感じ取るのだ。

さて、ここで問題です。2008年マナスル単独無酸素&スキー滑降の登頂記念として、山頂に以下のうち一つだけが光輝く山頂に掲げられます。本来であれば北海道の旗が揚がるのですが、今回はそれがありません。

さて、マナスルサミッターになるのは一体どれでしょうか!?


20081011-08.JPG
エントリーナンバー1番 ヒマラヤの雪男・イエティ人形 
これは、僕がポカラの山岳博物館で見つけた人形です。ヒマラヤにはイエティとう雪男がいるようですが、まだだれも捕まえたことがありません。この人形は、イエティというよりただの雑巾の妖怪です。ただ、山頂に持っていけばネパール人は喜ぶと思います。


20081011-09.JPG
エントリーナンバー2番 フリーチベット 
これは特に政治的意味がありません。カトマンズでお土産として買ってきました。ただ、機動性と軽さが抜群です。


20081011-10.JPG
エントリーナンバー3番 子ども達お手製のテルテル坊主これは応援団長の香取さんが呼びかけ、千歳のラーメン屋「みのり」の大将が集めてくれたものです。本当にうれしいです。元気が出ます。ありがとう!でも山頂に一つだけ持っていくのはかわいそうです。


20081011-11.JPG
エントリーナンバー4番 女性物の下着これは盛大なお見送りをしてくれた「ラーメン みのり」の大将の奥様がくれたものです。使用済みでないので助かりました。パンツが無くなった時に履けるというメリットがあります。しかし、これを持っていき、マナスルの神様は微笑んでくれるのでしょうか。



以上の4つのうち一つが、山頂で輝くことができます。その前に栗城が山頂に行けるのかという問題もあります。でも安心して下さい。魂だけは昨日の夜に山頂に向けて出発しています。

ナマステ


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