自然と共に生きる学校

 さて、「足枷」の整理が済んだところで、その「足枷」を外すためにはどうすればいいのか、という問題に移る。

 まず 〔2〕実際にエコロジカルな生活が実現された場合、自分はどうなっていて、どうやって生きていけばいいのか分からない、という未知への不安

 について、今学校で家庭科の授業に重点を置いているところは多くない。いや、まったくない、と言ってしまってもいいのかもしれない。
 だから、料理や裁縫がまったくできない、という人も今は相当数に上るはずで(私もそんな一人だ)、それ故に、エコロジカルな生活が実現した場合に、「衣」と「食」が確保できるのか、という不安は常につきまとう。

 では、そういったものをどこで学べばいいのか。

 そういう学校を作るしかないのである。

 偉いもので、世界には既にそのような学校を作ってしまっている人もいる。
 サティシュ・クマールさんがイギリスに設立した「スモールスクール」がその代表格で、スモールスクールでは、算数や理科など、普通の学校で習う授業を50%に抑え、残りの50%を、すべて「自然の共生するための勉強」の時間に当てている。
 週に1度は自然の中に出て、自然を観察し、自然から学ぶことによって、自然への敬意を育み、料理や裁縫など「自然と共生するために手段」の勉強に重点を置き、環境科学や環境哲学など、環境に関する授業も積極的に取り入れている。
 「シューマッハー・カレッジ」という、スモールスクールの大人版、というか大学版も設立されていて、そうやって大人にも子供にも「自然と共に生きる智慧」を提供することにより、大量生産大量消費の資本主義から脱却し、エコロジーをスピリチュアルを基調とした自然主義への社会構造の転換を、クマールさんは目指しているのだという。

 日本にはまだ、厳密にスモールスクールのような学校が建てられているわけではないが、似たようなコンセプトの下に活動しているグループがあって、それが、渋谷区を中心に活動している「シブヤ大学」だ。
 シブヤ大学は決まった校舎やカリキュラムを持たない代わりに、様々なゲスト講師を招き、実際に講師が活躍している現場に出向き、自然を共生する智慧を学んでいこう、という活動を行っている。

 このような形で、世界では、そして日本でも水面下では、エコロジカルな社会を見据えた「ライフスタイルの提供」を行っている組織が実在している。このような活動をもっともっと広げていくことで、「自然と共に生きる」というライフスタイルの具体的イメージが掴めていけば、
 「あ、エコロジカルな世界も悪くないな」と思ってくれる人も、どんどん増えていくのではないか、と思う。

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