環境ビジネスに就きたいと思う、そこのあなたへ

 春です。
 新年度の始まりにあたって、新しい学校、新しい会社、新しい部署、それぞれの新しいスタートを控え、気持ちを新たにされている方も多いと思います。

 少し時期的には外れたかもしれませんが、この頃になると、就職活動や転職活動も一段と活発化します。
 そんな中、就職や転職を考えているエコナヒトの中には
 「仕事をするならぜひ環境ビジネスに携わりたい!」
 と思っている人も少なくないのではないでしょうか。

 かくいう私も、かつてそんな中の一人でした。
 環境ビジネスに携わり、地球環境を守りたい、という一心から、それまで勤めていた会社を辞め、環境ビジネスに的を絞って何社も何社も面接を受けました。
 しかし、そうして面接を重ねていくうちに「何か違うぞ?」と思うようになり、結局環境ビジネスに携わるのを止めてしまいました。
 そういえば、かつて某○○総研で「環境ビジネス就職セミナー」を取り仕切っていた講師の方も、
 「地球を守りたい、という思いだけで環境ビジネスに携わりたいと思っているのなら、それは止めておけ」
 と言っていたのでした。

 さて、ではなぜ「環境を守りたい」という思いで環境ビジネスに携わってはいけないのでしょう。
 そして私はなぜ、環境ビジネスに携わることを断念してしまったのでしょう。
 環境ビジネスで就職活動をしたことのある先輩として、後輩にメッセージを送りたいと思います。


 まず一つ言っておきたいのは、
 「環境ビジネス、と声高に謳っている企業にろくな企業はない」
ということです。
 「ない」と断言してしまうと誇張があるように思いますが、そう思っていたほうが、もし環境ビジネスで素晴らしい企業に巡り合えた時の感動もひとしおだと思いますので、あえて言い切ってしまいます。
 なぜ、「環境ビジネス、と声高に謳っている企業にろくな企業はない」のかと言うと、今や環境ビジネスは一大トレンドであり、なんとなれば言い様次第で、いくらでも後付けで自分たちの仕事を「環境ビジネス」と言うことができてしまうからです。

 例えば原発などが良い例で、原発の危険性はチェルノブイリ以降何度も指摘されてきたにもかかわらず、原発は各種発電法の中で最もCO2排出量が少ない、ということで、いつの間にやら「環境ビジネス」ということになってしまいました。
 例えばゴミ収集業務などもそうで、朝4時ごろゴミ処理場を出発して、汚物やら腐った生ゴミやら危険な産業廃棄物などを回収するような、いわゆる「きつい、汚い、危険」な仕事も、ゴミを分別し、処理するのはエコだ、ということで、いつの間にやら「環境ビジネス」ということになっていました。ゴミ収集の青い車に、ある時期から一斉に「エコ」とか「リサイクル」などのラベルが貼られるようになったことに、気がついた方も多いと思います。

 このように、物は言い様で、どんな仕事でも「環境ビジネスである」と言える部分はあるわけで、そんな中「うちの仕事は環境ビジネスだ!!」と声高に叫ぶ企業に限って、本当は後ろ指を差されたり、きつくて嫌な仕事を、エコという“隠れ蓑”を使って、良い様に見せていることが多いのです。
 
 まあ言うなれば、「環境ビジネス、と声高に謳っている企業にろくな企業はない」という物言いは、「冬のソナタが流行ったからといって、すぐさま韓流ドラマを買い漁るような奴にろくな奴はいない」というのと同意義の考え方だ、と言えば分かりやすいかもしれません。
 
 逆に、本当に真剣に環境問題に取り組んでる企業は、自分の仕事を「環境ビジネスだ」などと豪語したりしません。「ビジネス」という枠組みではなく、仕事の中でどれだけ環境に配慮し、無駄が減らせるか、という「ワークスタイル」を見直すことが、真のエコロジーだと知っているからです。
 例えばNECなどが良い例で、NECは「ecotonoha」を主催したり、「リフレッシュPC」システムを開発したりと、かなり意欲的に環境問題に取り組んでいますが、自分たちの口から、自分たちが「エコ企業だ!」と声高に叫んでいるところは見たことがありません。

 あともう一つは忘れてはならないのが、
 「環境ビジネスであろうと、ビジネスである以上縦割り社会だ」
ということです。
 NPO、NGOの活動の影響が大きいのでしょう。環境ビジネスはラウンドテーブルで、誰もが公平に意見を出し合うことができ、従来のビジネスの在り方に疑問を持つ人たちの集まりだから、いばりちらす上司がいたり、派閥争いのような人間関係のいざこざもないだろう、というイメージを持っている人が少なくないようなのですが、コーポレーションビジネスである以上、そんなことはあり得ません。
 環境ビジネスにだって、パワハラもあればセクハラもあるし、会議室で事件が起こることもあれば、接待でキャバクラに行かなければならない、なんてこともあるかもしれません。
 ラウンドテーブルとか、人間関係ということを問題にするならば、それは環境ビジネスであるかどうか、という問題ではなく、大企業か中小企業か、という問題です。


 まあ、いろいろなことを言ってきましたが、環境ビジネスに限らず、「夢を現実にする」ということは、「現実を夢のような世界にする」というのと同時に、「ミもフタもない下世話な現実を夢の世界に持ち込む」ということでもあります。
 そういう両側面を共に受け入れる覚悟があるかどうかが、「夢を現実にする」際には求められるのです。
 そのことを念頭に置いた上で、なお「環境ビジネスに携わりたい」と思えるのであれば、ぜひその心意気を忘れることなく、環境ビジネスの扉を叩いてみてください。

 なんだかんだと、頑張れフレッシュマン!!

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