それぞれの終末論

 ムラオカさんのブログで『地球へ・・・』というマンガが紹介されている。

 この『地球へ・・・』や、私のブログで先日紹介した『最終兵器彼女』や、あるいは有名所だと『風の谷のナウシカ』などもそうだが、地球の未来が舞台のファンタジーでは、ほぼ共通して、「地球を何とかしよう」というのではなく、「地球はもうダメだ」という暗黙の了解が存在している。
 例えば『地球へ・・・』は
「人類が地球を窒息させている」と結論付けた一部の人間の考えにより、人類の手ではもはや修繕不可能なまでに進んだ環境破壊で生命滅亡の淵にある地球を再生するため、全ての人間がマザーコンピュータとともに植民惑星へ退去した。 」
 という設定になっているようだ。

 つまり漫画家の思考の中では、「地球はもうダメだ」という共通認識が存在している、ということだ。
 これは、一昔前なら「宇宙へ飛びたち、地球外の惑星に移住できるほどに地球の科学技術は発展する」と信じられていた、ということもあったのだろうが、今現在連載されている漫画でも同じような認識がある、ということは、漫画家のように人間への洞察の鋭い人ほど、「人間の“業”は止められない」という宿命をひしひしと感じ取っている、ということなのかもしれない。


 地球の最後はどうなるのだろうか。
 『最終兵器彼女』では、
 「伸びに伸びきったゴムが、ちょっとしたきっかけでプチンと切れてしまった」 と、地球の終末へ至る過程を表現していた。
 じつはこの「ゴムが伸びきった状態」というのが曲者で、一企業の倒産への流れなどを見ていると分かるが、ゴムが伸びきってしまうと、確かにちょっとしたきっかけでゴムは切れてしまうのだが、この「伸びきった状態」から「何かのきっかけでゴムが切れる」までの期間が、異様に長く続く。
 地球環境も、「伸びきった状態」から「何かのきっかけでゴムが切れる」までかなりの期間があると予想され、じつはこの期間だけで、人類は100年200年は生き延びられるのではないか、とも私は思っている。

 例えば「豪快な号外」で、マンガによる人類の未来のシュミレーションが示されていたが、そこで未来の人類は防護服に身を包みながらも、なんだかんだ生き長らえている。
 つまり、「人類が滅亡する」とか「地球は破滅する」という論点で環境破壊を語るのは、厳密に言うと少し間違っている。


 どんなに環境が破壊されても、地球は滅亡するわけではないし、防護服に身を包み、あらゆる技術を駆使してでも、人類は生き延びるだろう。
 だが、そこで失われるものは確実に存在する。それは年間の自殺者の統計や、難民キャンプでカメラに悲しげな表情を浮かべる少女の写真、聖火を取り囲む警備隊とそれを眺める人々の張り詰めた空気や、そし物憂げでやるせない日常を生きるすべての人々の胸の中にあるもやもやとした思いが象徴する、「何か」だ。

 私たちは何を取り戻そうとし、何を守ろうとし、そしてどういう「エンディング」を思い描いているのか。
 数多の漫画家たちが地球の未来を通して見つめていたのは「人間の“業”」だ。私たちが見つめなければならないのも、同じものに違いない。

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Re:それぞれの終末論
こんにちは、ムラオカです。
トラバありがとうございます!
おっしゃるとおり「地球へ」も人間の業がテーマになっています。

引用していただいた部分の次の行に、
「人類は出生から成長、死に至るまですべてコンピュータによって完全に管理されていた。」
とあります。
「地球へ」では地球を汚したのは人間であり、人間がダメな存在であるから人間の出生からすべてコンピュータコントロールすることで、地球にとって都合のよい人間を作ろうとして実現したのがS.D(スペリオル・ドミネンス)時代なのです。
良質な遺伝子を組み合わせて生まれた、一握りの選ばれたエリートしか地球にすむことができない時代という設定なのです。
人の命という神の領域に手を出したことによって生まれた新たな人種と人間との対立、命の尊厳、過ちを繰り返していく人の業、罪。
それにどのように向き合っていくのかということが描かれている物語なのです。
#そこまでをブログの記事でかけという話もありますね(^^;
 ちょっとはしょりすぎました

よっひ~さんがおっしゃられるように、私たちが見つめなければならないものが描かれていると思います。
そんなわけで、ご紹介してみた次第です。
#って、結局言葉足らずで、よっひ~さんの記事で補足していただいているようなものですね

「ナウシカ」と「地球へ」は、私の心のバイブルのようなものです。
何度も繰り返し読み直してしまいます。
Re:それぞれの終末論
>>ムラオカさん

 すいません、いつもなら「トラバしました~」ってコメント残すところだったんですが、その前に寝てしまいました(笑)。

 「人類のすべてをコンピューターでコントロールする」って、『2001年宇宙の旅』から使われているモチーフですよね。
 「人類のすべてをコンピューターでコントロールする」「良質な遺伝子を組み合わせて生まれた、一握りの選ばれたエリートしか地球にすむことができない」とい設定からするに、人類は結局外部の巨大な“制圧”によってしか、理想の社会を築けない、しかし、その理想社会ですらも、人類はいずれ拒否し始める、ということで、
「きれいな世界を作る、というのはとても難しいことだし、どんなにきれいな世界を作ったとしても、人間ってきれいなだけじゃやっぱり生きていけないんだ。汚くて、やましくて、不完全だけど、それが人間は愛おしくてたまらないんだ。そんなもんだよ。」
 っていうメッセージを伝えたかったのかもしれませんね。
読みました
先日紹介していた「最終兵器彼女」、図書館で借りて読みました~。
お返しに、地球の未来を舞台にしたファンタジーのマンガを紹介。

「ヨコハマ買い出し紀行」芦奈野ひとし著

海面上昇で臨海地域が海に沈んでいくかたわら、穏やかにすごす人間とロボットのおはなしです。
天気のいい休日にボーっとしながら読むとなんとも気持ちがいい作品です。
Re:それぞれの終末論
>>どり

 図書館にあったのか!!さすがだな~。ちゃんと全巻揃ってたのかな?

 ええっと、「地球へ・・・」と、そして「ヨコハマ買出し紀行」ね。
 マンガ喫茶に置いてあるかな(苦笑)?
最近の図書館
うちの最寄りの図書館の場合、表に置いてあるマンガは少ないけど書庫にかなりある様子。
しかも全巻セット貸し。(たくさんの場合は7巻ずつくらいのセット)
図書館HPから検索→予約→取り置きできたらメールでお知らせ→取りに行くだけ。
最近の図書館はスゴいです。
大きなマン喫ならあるんじゃないかな〜?
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