2008年08月05日
温暖化をカネに“する”とはどういうことか
『ecogroove』さんの「「温暖化」がカネになる」という記事について。 記事によると、『「温暖化」がカネになる』という本があって、「金儲けの欲望が地球環境を守る」というキャッチコピーが付されている。 「人間の「損したくない」「儲けたい」という欲望をひきつけることで、全体としては温室効果ガスを削減することができることであり、善である」というのが、欧米の基本的な姿勢であるらしい。 そこで考える。「ほう、そこまで話は単純明快かね??」 例えば「ダイキン」というエアコンメーカーがあって、今その会社が企業広告を電車の中吊りに打ち出している。 その広告によると、日本では当たり前にように普及している「インバーター式エアコン」が、世界ではまだまだ普及していないらしい。「インバーター式」とは、温度設定によって風の強さを自動調整する機能で、その機能がついていないと、設定温度まで一気に風を送り、設定温度まで達したら止まり、また一気に風を送る、ということを繰り返すため、非常に電気効率が悪いらしい。 なので、インバーター式エアコンを普及させることは、CO2の排出を抑制し、地球環境を守るので、ダイキンは、インバーター式エアコンを世界中に売り出すことを「環境貢献」としての使命だ、と認識しているのだそうだ。 さあでは、実際インバーター式エアコンが世界中に普及したとして、CO2排出を抑制するエアコンだから、と世界中でガンガンインバーター式エアコンが使われるようになったとしよう。 エアコンをガンガン使うことは、「環境貢献」になるのだろうか? 問題なのは、ダイキンは冗談を言っているわけでも無知なのでもなく、本気で地球の将来を憂い、本気で「自分たちのエアコンが大量に売れれば地球の環境は守られる」と確信している、ということだ。 そういうことはこの国だけを考えても、いたるところで行われている。 例えば、「2007Ver.」「2008Ver.」という形で毎年新しいデザインのエコバッグを開発しているメーカーがある。 彼らは「エコとファッションを結びつけて、エコはおしゃれだ、と認識されれば地球環境は守れるはずだ」と本気で確信して、1年ごとにエコバッグを買い換えるようにと宣伝している。 1年ごとにエコバッグを買い換えて使い捨てしていては、エコにならないのでは?という考えは毛頭ない。 例えば、「Think the Earthプロジェクト」が主催している「Water Planet」というイベントがある。 自社で製作したマイボトルを買って、都内各所にある「オアシス」と呼ばれるポイントに行けば、無料でボトルに給水してもらえる、というものだが、イベントが終了し、給水ポイントが撤去されれば、マイボトルの持つ必然性が失われて、マイボトルは使い捨てになるのではないか、という可能性は、考慮されていない。 「カネになる」「儲かる」という以上、資本主義のこの世界では、何かしらのモノを、大量生産し大量消費させなければならない。 「人間の「損したくない」「儲けたい」という欲望をひきつけることで、全体としては温室効果ガスを削減することができることであり、善である」という言説は、「本当にその欲望を成就させることで温室効果ガスを現実的に・正確に削減できる」という前提が必要で、その前提がきちんと成立するのかどうかは、まったく話が別だ。 厳密に言うと「温暖化がカネになる」という表現は正確ではなくて、人為的操作によって「温暖化をカネに“する”」という言い方が正解だ。 カネにする、という操作が加わる以上、どこかに必ず負荷があって、本当に温暖化をビジネスにして、この星は救われるのか、改めて考え直す必要が出てくるだろう。
- posted by よっひ~ |
- 11:11 |
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- Re:温暖化をカネに“する”とはどういうことか
- 以前、よっひ~さんも仰られたかも知れないですが、エコとエコノミーの関係は切り離さなくてはならないと思います。社会福祉とエコノミーも切り離して考え無くてはならないのと同じ様に、弱者から摂取する事じたいが間違いなのではないかと思います。人類は自然と戦ってある程度の勝利を得たのだから、自然を弱者として考える必要があると思います。 エアコンを使用しない環境を考えるとか、エコバックを2年以上使用したら懸賞金をあげるとか、マイボトルを自主回収して回収した人に褒賞金をあげるとか、政治家の給与半分にしてその余った半分を絶対に企業が行わない活動費にすれば良いのではと思ったりします。エアコンの効いたテレビ局のスタジオで漫談しているんだから多分お金も沢山余っていると思います
- posted by ゆたか |
- 2008-08-05 20:08
- Re:温暖化をカネに“する”とはどういうことか
- トラックバックありがとうございます。
この本は確かに挑発的です。
とはいえ、世界が実際に動いている方向を
冷静に捉えているという意味で、
一読の価値があると思いますよ。
この本では、大量生産・大量消費に変わる
経済社会の展望が描かれております。
私の浅はかな要約では本書の内容を
正確に伝えられていないと思いますので、
私の記事をもとにこの本の結論を
否定されるのは著者に申し訳ない気がします。
- posted by ecogroove |
- 2008-08-05 23:16
- Re:温暖化をカネに“する”とはどういうことか
- >>ゆたかさん
要するに、自然にも人間と同じ「生存権」が存在する、という考え方ですね。たしか動物に対しても同じような問題があって、今議論されているところだったかと思います。
「自然がかわいそう」という表現がよくされますが、自然に対して「情」を抱けるのかどうか、というところが一つネックになってきますね。特に大人の場合。
>>ecogrooveさん
あ、本物だー(笑)。勝手にトラックバック申し訳ありません。
えーと、記事を読んでもらえれば分かると思いますが、まったくさっぱり本の否定はしてないですよ(笑)。
否定、というよりは「補足」、ですね。
温暖化がビジネスになることに関しては、全然否定はしていませんし、むしろそういう形で社会貢献の選択肢が広がるのであれば、それは良い事だと思うんです。
が、そういう世界を、夢のような新世界が生まれる、という「ユートピア」として思い浮かべているのだとすれば、「この世にユートピアなんてないんだよ」ということを補足して言っておかなきゃいけないな、と思ったんです。
どんなモノにも裏があり、影があり、リスクがあり、そこに付け込む悪がいる。
そのリスクに目を背けて、新世界を思い描いていたりすると、却って状況を悪化させてしまう事だってありうる。
まあ要するに、「待て、ちょっと落ち着いて考えようぜ」と冷や水を掛けておきたかったんですね(笑)。 - posted by よっひ~ |
- 2008-08-07 23:47


