スローライフは実現可能か?

 『スロー快楽主義宣言!』という本を読んでいる(今度は図書館で借りた)。

 エコロジーや、現在の環境破壊を生み出す心的な要因を自分なりに調べてきて、諸悪の根源は、現在の「消費主義社会」、つまり大量生産大量消費を推し進め、消費こそが快楽であり、競争と不満を原動力としてより大きく・強く・早くという政策を推し進めることこそが“発展”であり“進歩”であり“現実的”なのだ、という「幻想」にあることがおぼろげながら分かってきた。

 環境に配慮した社会を実現するためには、まず“消費”という、従来私たちが一番の快楽だと思っていた認識を見直し、競争で人を競り落とすことでなく、共に生きる生産を良しとし、ないものを手に入れることを喜びとするのではなく、あるものを生かし、それを共に分かち合うことを喜びとする、そんな社会に転換していかなければならない。
 そのために具体的な方策として、「対抗発展」や「スローライフ」と言う考え方は、これからのエコ社会の指針となる可能性を秘めている。

 だが問題は、現在の社会状況で、本当に対抗発展やスローライフを実践して生きていけるのか、という部分で、そこがすべてのエコな人の一番の足枷になっているのではないか、と思う。
 本当は自然に囲まれて暮らしたい、本当は今の仕事を否定して、本当に地球のためになる仕事がしたい、本当は自給自足で生きていきたい、本当はお金じゃなくてもっとかけがえのない価値を糧に生きていたい。
 程度の差はあれ、きっとエコな人はみんなそう思っていて、その度に「でもそれで本当に生きていけるの?」という疑問が頭をもたげて、実行を断念する。そんなことを繰り返しているのではないか、と思う。
 例えば、スローライフの総本山として、『NPOナマケモノ倶楽部』という組織がある。そのHPのトップには、7月24日現在、「ナマケモノ倶楽部と訪ねるエコ・スピリチュアル・ツアー」というエコツアーの案内が載せられていて、ツアー参加費一般45万円とある。
 消費経済に頼らないスローライフを実践しながら、果たして45万という金額を捻出することはできるのだろうか。

 誤解しないでほしいが、私はスローライフの生き方に大きく賛同している。私もこのような生き方ができるのならば今すぐにでもしたい、と思っている。
 だが現実問題として「スローライフを実践していますが、どっこい私は生きています」という人に、いまだに巡り合ったことがないのだ。
 ちなみに言うと、「スローライフ」という言葉を広く世に知らしめた辻信一氏は、学者であり大学教授でもある。辻氏はその学者業や教職で得られた潤沢なサラリーを糧にして、スローライフを“満喫”している。元々サラリーが保証された上でのスローライフなら実現可能だろうが、それでは、スローライフは「大金持ちの道楽」ということにもなりかねない。

 スローライフを現実に根付かせるためには何をすべきで、今現在スローライフを実践している人たちは何をしているのか。
 もう少し、調査が必要そうだ。

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