夕凪の街 桜の国

 『夕凪の街 桜の国』という映画を見に行く。
 これは原爆投下後の広島、そこに生きた一人の女性と、その血を継ぎ現在に生きる女性、2人の視点から原爆と人間の人生を映し出した、数々の賞の受賞した漫画の映画化である。
 私は原作の漫画を読んだことがないが、偶然この映画のポスターを見かけたとき、この映画は見ておくべきだ、という直感が働いたので、渋谷まで足を運ぶことにした。

 話は「夕凪の街」編と「桜の国」編に分かれている。桜の国編になってから、時系列がごちゃごちゃしてしまい、なんか煩雑な印象を受けてしまった部分もあったが、原爆と言う重いテーマを掲げた作品だけあって、感慨深い部分は多かった。

 この映画の主題は、原爆というよりも、「すべての想いは繋がっている」ということにあると思う。
 大切な人、失われた人、かけがえのない人、そして、今ここにいる人。すべては“今ここだけにある”存在ではない。 今ここに至るまでに、背負ってきたもの、経験してきたこと、感じたこと、そのすべての“時の結晶”が、今ここにいる人を築き上げている。
 私たちを取り巻くすべての人たち、その各々に、過去から現在へと結ばれた、時の線、時の繋がりがあり、私たちが人を想い、人を愛す時、それは、“今ここにある”存在ではなく、過去から現在へと紡がれた時の結晶、そのすべてを、受け入れるということなのである。

 この映画が伝えたかったことは、そんな“時を抱きしめる”という限りない受容の精神であり、そこに原爆というモチーフを導入することで、美しい教訓的な作品に昇華できたのだと思う。

 
 公開が7月28日からなので、まだしばらく放映していると思います。よかったらどうぞ。