アイロン放談

 環境のことを考えると、仕事着も本当はクリーニングなどに出さず、自分で洗うのが一番良いのだが、ことアイロンがけという作業がなかなか難儀なのである。
 
 私はアイロンがけの正しい作法を知らない。だからいつも「襟→背中→前左半分→前右半分→腕」という順番でアイロンをかけているが、もっと効率の良い順番があるのかもしれない。アイロンは当然ものすごい高温になるので、作業をしているだけで相当暑くなるし、意外と体力も使う。素人のやることなので、当然「かけ残し」も出てくるし、腕の部分なんて、平台のアイロン台の上でどうやってきれいにアイロンをかければいいのか分からない。
 そんなこんなで、ああでもない、こうでもない、などと言いながら、1枚1枚シャツを対峙しなければならないので、それが面倒でついついクリーニング屋を頼ってしまう。

 しかし、このアイロンがけが「好きだ」という人も意外と多いらしい。有名なのは作家の村上春樹で、彼はアイロンがけが好きだ、というだけでなく、腕前も名人級であったらしい。
 確かに、しわくちゃになった衣類がアイロンを通すだけできれいになる、というのはある種魔法をかけているような気分になるのも分からなくはないし、アイロン台の高さの関係上、アイロンがけの作業中はどうしても正座になるので、意外とアイロンがけというのは和の心を持った家事なのかもしれない、とも思う。
 
 クリーニング屋へシャツを持っていくと、クリーニングの過程でそれだけ資源を無駄に使っているか分からないし、毎回毎回ご丁寧にビニール袋に梱包されてくるのが、たまらなくもったいない感じがする。
 うまくアイロンがけができれば、環境に優しいだけでなく、家計の節約にもなるだろう、そんなことを考えつつも、今日もああでもこうでもないと、アイロン台としわくちゃになった衣類と、正座で向かい合う日々なのである。