CO2ビジネス

 先物投資の投資家の間で、今CO2の先物買いが加熱しているらしい。

 どういうことかと言うと、以前にも記事にした「クリーン開発メカニズム」というシステムにより、京都議定書におけるCO2削減目標に期限までに到達する見込みがなくなった場合、他の国のCO2排出権を購入することにより、自国で賄いきれないCO2削減量を帳消しにすることができるようになった。
 だからあらかじめ、例えば途上国の工場などにおけるCO2排出権を買い占めておけば、いつかその排出権を国が買い取ってくれるかもしれない、という見込みを投資家は立てているのだ。

 要するに、「どうせ京都議定書の約束なんて守れるわけないんだから、今のうちからCO2の出そうな所を買い取っておけば、いろんな国がその場所のCO2排出権を欲しがって、交渉次第でぼろ儲けだぜ!」
 と、投資家は考えている、というわけだ。

 もちろん形式上は投資家が排出権に投資するわけだから、例えばその工場における経営は潤うだろうし、そうやって投資熱が過熱することで、環境保護に関わるお金の量は絶対的に増えるわけだから、悪いことばかりではない。

 ただ一つ懸念するのは、あくまで投資家は「ビジネス」として排出権購入に乗り出している、ということだ。
 つまり、「金になるから環境保護に関わっている」ということで、投資家が危惧するのは、CO2に金銭的価値がなくなってしまうことだ。
 それはどういう時か。

 「京都議定書の約束、つまり環境保護の目標が達成された時」だ。

 だから、投資家によるCO2排出権の購入が加熱すればするほど、自らが購入したCO2の価値を維持するために、環境保護の動きを抑え込む、あるいはあえて環境破壊を推し進めようとするだろう。

 これは何もCO2排出権に限らず、すべての環境ビジネスにも言えることで、「環境ビジネスがビジネスとして成立するためには、ある程度の環境破壊が維持されていなくてはいけない」というジレンマを、すべての環境ビジネスは抱えている。

 だからこそ、CO2の排出権に金銭的価値を持たせることに私は懸念を感じ続けているのだが、現在の投資熱が、いい方向へ進むのか、悪い方向へ進むのかは、今のところ霧の中だ。