サンタクロースを消したのは誰?

 この時期になると、毎年子供たちの間で「サンタクロースはいるの?いないの?」という話になるようだ。しかし最近は、サンタクロースという“夢”を信じる子供たちも少なくなってきているようで、「サンタクロースはお父さんだよ」と、あけすけに話す子供も増えてきているらしい。今やクリスマスは子供たちの祝祭ではなく、年末商戦の小道具だったり、恋人たちの口実である、という事実に、子供たちは否応なく気づかされているのかもしれない。
 しかし、なぜ子供たちは子供時分から、「サンタクロースなんていない」という現実論に向かうのだろう。それはおそらく、周りの大人たちやメディアが、サンタクロースなどいない、ということを情報や態度で示しているからだろう。
 しかし、当の大人たちは「サンタクロースはいるのかいないのか」という問いに対して、本当の答えを果たして知っているのだろうか。

 「サンタクロースはいるのかいないのか」という問いに対して、まず言えるのが「かつてはいた」ということだ。サンタクロースには実在するモデルが存在するからだ。
 St.ニコラウスというキリスト教の司祭で、恵まれぬ子供のために、姿を隠し、煙突から金貨を投げ入れたことで、その子供を救った、という逸話がサンタの風習の元となっている。
 では、「サンタクロースとは何者なのか?」と問われれば、St.ニコラウスの逸話に沿うならば「無私の精神で、恵まれぬ人たちに恵みを施した偉人」ということになる。
 その定義に則るならば、例えばマハトーマ・ガンディーやマザー・テレサなどは、現代におけるサンタクロースである、と言ってしまって良かったはずなのである。
 だが、マハトーマ・ガンディーやマザー・テレサをサンタクロースだと認識する人はいない。それは、サンタクロースが「誰にでも無条件におもちゃをあげる妖精」という意味に、いつからか摩り替わってしまったからだ。

 つまり「サンタクロースはいるのかいないのか」という問いに対しては「かつてはいたし、現代もその思想を受け継ぐ人はいる。しかし、いつからか“いないことにされた”」というのが実際だと思う。いないことにされたのだ。おそらく、人為的な手によって。

 サンタクロースをいないことにしたのは誰か。おそらく、その当時の大企業や財団の人たちだろう。バレンタインデーがいつからかチョコレートの日に摩り替わったように、母の日のカーネーションがいつからか物品のプレゼントに取って変わられたように、サンタクロースを「おもちゃをあげる人」という意味に摩り替えることによって、富を得ようとしたのだろう。

 例えば、サンタクロースの赤い服。あれを世界的に広めたのはコカコーラ社だ、という有名な逸話がある。子供たちの夢は、大人たちの情報によっていくらでも操作が可能なのだ。
 子供たちの夢は、いつだって大人たちの欲望によって駆逐されてきた。そして今も、駆逐され続けているのだろう。