2008年10月13日
新エネ先進地調査報告2
天気のいい休日、いかがお過ごしですか?私はお仕事です(><;)。 さて、この前、足寄町などの先進地調査報告を書いたら、意外に読まれているようなので、今度は先週、同行させていただいた岩手県の葛巻町について紹介したいと思います。 葛巻町はいわずとしれた「ミルクとワインとクリーンエネルギーのまち」で、新エネルギービジョンの先進地視察先として超有名な町です。視察者はなんと昨年度で300団体以上、観光客含みで50万人くらい来たそうです。 ちなみに葛巻町の人口は約8,000人、乳牛10,000頭、森林率86%の酪農と林業が基幹産業の町です。 視察のときは葛巻のホテルに泊まったり、葛巻のワインとチーズで食事したり、地元にもちゃんとお金が落ちる仕組みになっています。 葛巻町にはオイルショック時から木質ペレットを継続していた葛巻林業があって、そのときからのペレットボイラーも現役で、最近では木質ガス化発電の実証試験や畜産バイオガスシステムを導入しています。風車も15基建っていて、太陽光発電も学校などあちこちについています。 3日目は矢巾町にある岩手県林業技術センターにチップボイラーを見に行きました。ここでも岩手県の施策を聞くことができて、興味深かったです。 現地で説明した下さった方、手配してくださった方、ありがとうございました!葛巻中学校の太陽光発電
葛巻林業の木質ペレット(バーク)
上外川高原に建つ風車(1,750kWが12基)
森のこだま館 ・2008年5月に完成したばかり。木造平屋で床面積は700m2。 ・町産カラマツ集成材を使い、床暖房にサンポットの50kW2基のペレットボイラー(岩手型)を使用。ペレットタンクは7tを2基。冷暖房にも使えるのが特徴。 ・3000万円/2基で1/2は林野庁の補助。1/2は岩手県のお金。 ・今シーズンから稼動。計画では40t/年の使用量。35円/kgで購入。 ・灰は葛巻林業のバークペレットなので、重量の2~3%出る。廃棄物として葛巻林業にひきとってもらっている。 ・体験交流施設でクラフトマンペレットストーブも設置されている。 ・ペレットストーブと薪ストーブに10万円/台の補助制度(平成19年度まで半分県だったが、なくなったので平成20年度から町独自)があり、毎年10件ほど申し込みがある。 くずまきワイン工場 ・売り上げは3.8億円/年で黒字。平成12年と平成14年には利益が出たので1000万円ずつ町に寄付した。 ・ブドウの皮はすべて堆肥にしている。 ・隣接する炭の科学館には1988年より稼動している二光エンジニアリングのペレットボイラーがある。 葛巻町立葛巻中学校 ・2000年3月に校庭に太陽光電池モジュール420枚、50kW(962m2)を設置。140枚ずつ3列。校庭にしたのは、屋根の形状から南向き設置が難しかったのとメンテナンスのため。土地があるなら屋根よりも校庭などに設置したほうがいい。 ・平均で同校の25%の電気使用量を賄っている。 ・建設費用は4500万円(1/2NEDO補助) ・山に囲まれており、条件としてはあまりよくない。しかし、ここで太陽光発電を設置することにより、町民には「ここでできるなら自分のうちのほうがもっと発電できる」ことを示すことになり、今までに18件以上導入されている。(3万円/kWの町補助あり) くずまき高原牧場 木質バイオマスガス化実証プラント ・間伐材の有効利用を目的に2004年に月島機械㈱がNEDOと共同出資で120kWのガス化発電装置を設置。 ・機械は2億円、建て屋は3千万円で合計2.3億円。 ・木質チップをガス化し、そのガスを利用して発電。牧場内のプラトー(宿泊施設)などに供給される。 ・含水率50~60%にしたチップを自身の熱を使って含水率10~15%にして、それをガス化炉に投入。90分蒸し焼きにして、不完全燃焼させる。そのときに出る可燃性ガス(CO,CH4など)を発電機に投入して発電。120kWは一般家庭100軒分の電気。熱回収は266kW。ガス化はダウンドラフト形式。 ・当初5年間の予定だったが、4年で結果が出たので、2008年3月に終了。 ・月島機械では実証試験の結果を使って、商用プラントを販売開始。1/2は林野庁の補助を使って、埼玉県の秩父市の民間宿泊施設に設置。ガス化する際にできる炭は販売している。非常にいい評判とのこと。 ・ガス化することの利点は小規模で可能なこと。120kW規模ならガス化のほうがいい。秋田県の能代では3000kW規模で直接燃焼したチップ発電を行っている。 ・採算が合うかどうかはチップの値段。3000円~4000円/tが採算のライン。実証試験中は1万円/tで購入していた。 ・タールは1g/m3以下しか出ないが、オイル交換は頻繁にしていた。 バイオガスプラント ・葛巻町は寒いということで昭和50年に酪農の町にすることに。 ・畜産開発公社で、農家から800頭の子牛を預かり、2年間飼育して、種付けして農家に返すことを行っている。5月中旬~5ヶ月は風車の牧場に放牧。 ・農家としてはふん尿処理しなくていい、丈夫な牛になる、おいしい牛乳になるので預けている。 ・高原にはチーズ工場や集成材だけで作ったゲートボール場などがあり、畜産開発公社全体で11~15億円/年の売り上げ。 ・バイオガスプラントは、2003年に2.2億円で設置。50%は農林水産省補助、10%は県、40%は町で出した。 ・13t/日の糞尿→2t/日の固形分+11t/日の液体。固形分は完熟堆肥にしている。11tの液体と生ゴミを混ぜてメタン発酵して、電気37kWと熱を生産。発電した電気は施設内だけで使用。売電はしていない。熱はメタン発酵槽の保温に使用。最後の液肥は9t/日生産され、農地に還元。1時間後には臭いがなくなり、大変いい。 ・隣町のバイオガスプラントは30kW規模で1.2億円なので、本施設は高め。小岩井農場には400kW規模のものが入っている。 ・エネルギー生産というよりは糞尿の適正処理施設。 上外川高原風力発電所 ・2003年12月に運転開始。標高1000mの高原に1750kW/基×12基のデンマークのベスタス社製の風車で年間5400万kWを発電(16000世帯分)。送電線は地下埋設。風の向きによって360°回転する。ハブ高さは66mだが、吊り上げられるクレーンが日本になかったので、特注で60mにしてもらった。 ・設備利用率は28%くらい。発電した電気はすべて東北電力に9.56円/kWで売電され、盛岡で使われている。5億円/年くらいの収入。 ・建設主体はJパワー(前の電源開発)(現地法人はグリーンパワーくずまき)建設費は47億円で1/3はNEDO補助。そのほかにグリーン電力基金を買ってもらっている。 岩手県林業技術センター(矢巾町) ・2003年にスイス製のチップボイラーを導入。木材を燃料として使うため国産のチップボイラーは含水率が80%以下でないと使えない。林業技術センターのチップボイラーは含水率150%まで可能。 ・200kWと400kWで600kWにしたのは最低出力を小さくするため。600kWだと最低出力が300kWであるのに対して200kWがあるため100kWまで対応可能になる。 ・2700m2のセンター内を暖房するため配管工事に2136.7万円ほどかかり、チップボイラー本体は4778万円であった。1/2は林野庁補助。 ・冬前に1~1.5時間ほどかけて薪ストーブのようにマニュアルで火をつける。一度つけたら一冬消さない。1日24時間たいて20m3/週1~2回補給する程度。効率は30~100%。200kWのほうだけで十分。イメージとしては「大きな薪ストーブ」急に消せない。急に点けられない。 ・メーカーによると耐用年数は30年以上ということだった。値段は重油ボイラーの8倍くらいだが長く使えばもとがとれる。 ・いわて型チップボイラーの開発を行い、そちらは花巻市の保育園に100kW、雫石町の温水プールに200kW2基と100kW1基を設置。高含水率のチップを燃焼可能。 ・気をつけることはチップをきらさないこと、灰がかなり出るのでその始末があることである。チップボイラーだけで暖房を行うのは危険。できるだけ小さいものをフル活用して足りないなら重油ボイラーで補う使い方がいい。 ・条件は「大きい施設であること」「24時間熱需要があること」である。そのため温泉や宿泊施設に向いている。
- posted by nerc |
- 11:59 |
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