選ぶのはあなた

take  takenoko


日曜日、うちの義父が持っている千葉の竹山に行ってきました。
毎年、そこでたけのこ掘りをするのです。


その山が自分たちのものになったのは、10年ほど前のことでした。

初めて行ったとき、管理者がきちんとしていなかったその山は、
竹がぼうぼうと生えているところに、
古くなって倒れた竹、古木、雑草、
その他に捨てられた電気のカサや自転車のタイヤ、牛乳瓶などが
歩けないほど溜まった、ゴミ捨て場になっていました。


そして孟宗竹のたけのこが、そのゴミを縫って顔を出していました。

だから、「たけのこ掘り」と称して友人たちを誘い、
たけのこを掘り、ついでにゴミを整理し、木を伐採し、
倒れた竹をのこぎりで切って帰ったのです。


打ち捨てられていたその山は、
数年後は村の人たちが自分たちの食べるたけのこを
取りに入れるようになりました。

「何本かもらいましたよ、ありがとう」
「いえいえ、どうぞご遠慮なく」
「ところで、お義父さんは、お元気ですか?」

そんな風に、日ごろ住んでいるわけでもない私たちが、
村の人たちと会話を交わせるのもうれしいことでした。


ところが今年、いつもより1週ほど遅い日曜日に行ったところ、
たけのこがたくさん掘られてしまっていたのです。

いえいえ、掘られたからといってなくなることはないので良いのですが、
悲しかったのは、掘り返したたけのこの良いものだけを選んで、
小さいものや形の悪いものをその辺に捨てていかれたことです。

地元の人が自家用にするのならば、そんなことはしません。

取ったたけのこの皮をその場で剥くことはあっても、
その皮をきちんとたけのこを抜いた穴に詰めて、
しっかり地面を埋めて帰るのです。

それは、「来年も生えろよ」という気持ちと、
次の人が穴にはまらないようにという気遣いです。


だから私たちも、気持ちよくみなさんに山を開放できていたのです。

けれど、捨てられたたけのことコンビニのパンの袋を拾いながら、
「看板を立てたほうがいいかなぁ」
と呟く義父の背中は、とてもさびしそうでした。


同じように自然の産物を取っているのに、
心のあり方で「自然の守人」にも「盗人」にもなるのです。


あなたなら、どちらになりたいでしょうか。



                            安井レイコ


        
                    Copyright(c)2007 安井レイコ




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